神隠しの杜
第5章 神隠しの正体
“オレは神隠しだ”
歩は冗談だろと青ざめる。例え確信できる状況にあったとしても、誰だって否定したいはずだ。
大体自らを神隠しなどと言う事自体、どうなのか。正直歩には判断しかねるし、どう口にしようか迷っていると先に緋葉の方が口にした。
「まあ驚くの無理ないし、当然の反応だと思う。オレも正直神隠しになるなんて、夢にも思わなかったし」
「まさか……」
信じたくない。
信じたくない。
信じたくない。
信じたくないけど、それを否定する材料など歩は持ち合わせていなかった。