
20年 あなたと歩いた時間
第4章 18歳
三年生になり、一気に受験が現実味を
帯びてきた。 流星はバイトを辞め
本格的に受験勉強を始めた。
私も塾に通ったり、学校の補習を受けたりで
流星に会える時間は格段に減っていた。
真緒と要も同じで、
みんなが頑張っているから自分も、
と思わなければ気が抜けてしまいそうだった。
「あーあ、今年の夏休みはないね」
久しぶりに四人揃っての帰り道。
いつもの公園に集まった。
真緒が残念そうに言うと、すかさず要が、
「推薦で決めれば、早くラクになれるだろ?おれ、推薦狙いー!」
「要、評定平均足りてるの?」
真緒が驚く。
「普通科はわりと指定校推薦あるんだよ。ね、要」
「うらやましい話だよな。理数科なんてあったとしても難関私立だからな。おれには無縁」
「流星、やっぱり国立狙うの?」
「当然。うち、金ないからさ」
流星は、ここを離れようと思っていることは
言わなかった。どこを受験するかは、
誰も聞かなかった。
さんざん受験トークをしたあと、
真緒がいきなりアイスクリームが食べたいと
言い出した。
「コンビニいこうぜ、真緒」
要が真緒を連れてアイスクリームを
買いに行こうとブランコを降りた。
私達がずっとたまり場にしている
この公園のむかいに、去年ついにコンビニが
できたのだ。
はしゃぎながらコンビニに行く二人を
見送って、流星が言った。
「こうやって話すの、久しぶりだな」
「そうだね。ずっと電話でちょっと話すだけだったもんね」
「…大丈夫か?」
「うん…」
流星の声のトーンが少し下がった。
長い脚を投げ出し、ベンチにもたれて
頭上の葉桜を見上げた。
帯びてきた。 流星はバイトを辞め
本格的に受験勉強を始めた。
私も塾に通ったり、学校の補習を受けたりで
流星に会える時間は格段に減っていた。
真緒と要も同じで、
みんなが頑張っているから自分も、
と思わなければ気が抜けてしまいそうだった。
「あーあ、今年の夏休みはないね」
久しぶりに四人揃っての帰り道。
いつもの公園に集まった。
真緒が残念そうに言うと、すかさず要が、
「推薦で決めれば、早くラクになれるだろ?おれ、推薦狙いー!」
「要、評定平均足りてるの?」
真緒が驚く。
「普通科はわりと指定校推薦あるんだよ。ね、要」
「うらやましい話だよな。理数科なんてあったとしても難関私立だからな。おれには無縁」
「流星、やっぱり国立狙うの?」
「当然。うち、金ないからさ」
流星は、ここを離れようと思っていることは
言わなかった。どこを受験するかは、
誰も聞かなかった。
さんざん受験トークをしたあと、
真緒がいきなりアイスクリームが食べたいと
言い出した。
「コンビニいこうぜ、真緒」
要が真緒を連れてアイスクリームを
買いに行こうとブランコを降りた。
私達がずっとたまり場にしている
この公園のむかいに、去年ついにコンビニが
できたのだ。
はしゃぎながらコンビニに行く二人を
見送って、流星が言った。
「こうやって話すの、久しぶりだな」
「そうだね。ずっと電話でちょっと話すだけだったもんね」
「…大丈夫か?」
「うん…」
流星の声のトーンが少し下がった。
長い脚を投げ出し、ベンチにもたれて
頭上の葉桜を見上げた。
