秘密の兄妹
第12章 募っていく想い
「…お兄ちゃん、ごはん食べてきて……」
紫織は横を向きながら俺にそう言う。
「今日はいい!!今はお前の方が先だ!!」
「ダメだよ!!」
紫織が大声で俺に言う。
「…なんだよ…何でそんなに無理して食事なんて作ってんだよ……わけ分かんねえよ…」
自分のこと、もっと大事にしろよ……
紫織は泣きそうになりながら俺の瞳を見つめる。
「…お兄ちゃんと高等部で一緒になってから、よく学食でお兄ちゃんを見かけるようになってね……そのたびにお兄ちゃん、いつも揚げ物とか油っこいものばかり食べてて……毎日お兄ちゃんの体が心配でたまらないの…」
「せめて、朝と夜くらいちゃんとしたバランスのいい食事をしてほしくて、食事だけはどうしても私が作ってあげたかったのっ……」
熱が高いせいか紫織は子供みたいにボロボロ涙を流している。
「…なあ、前から聞きたかったんだけど、お前、何で料理そんなに毎日無理して作るようになったわけ?俺に無視されてる時も毎日欠かさず食事だけは作ってたよな…?何で…?」
俺は紫織の頭を撫でながら紫織に聞く。
「……お兄ちゃん忘れちゃった?私が料理作るようになったのって、私が小学4年の時からだよ…」
「お前が小4…?」
…その頃、何かあったか……?
「お兄ちゃん、その頃、小学6年生で、学校で血液検査があったの。」
「そしたらお兄ちゃん、コレステロール値が異常に高くて、お母さんが保健センターに呼び出されて厳重注意うけたの……」
「その時、このまま食生活変えないと、成人病になる可能性がありますって言われて、家に帰ってからその話聞いた私…【お兄ちゃんが死んじゃう】ってオロオロしちゃって……」
「あの頃、もうお父さんもお母さんもほとんど家にいなくて、お兄ちゃんスナック菓子ばかり食べてたから…」
「だから私がお兄ちゃんのこと守るんだって、その日を境に一生懸命、料理を覚えたの」
「…………」