秘密の兄妹
第12章 募っていく想い
知らなかった…
紫織は料理が好きなんだと思ってた……
全ては俺のために始めたことだったんだ……
「私、お兄ちゃんが何考えてるかは全然分からないけど、料理の好き嫌いは良く知ってるつもりだよ…」
「例えば豆腐のハンバーグ……私が好きだから、お兄ちゃんも好きなふりしてくれているんだよね…?」
「…気づいてたのか…?」
紫織は「当たり?」と聞くと、俺に笑いかける。
「お兄ちゃんの好きな食べ物は…
豚肉のしょうが焼き、
ポテトサラダ、
カレー、ビーフシチュー、オムライス、
肉じゃが、
あと意外に、切り干し大根、いかとブリの煮物も好き…」
「…………」
「ピーマンは嫌いだけどチンジャオロースにすれば食べられる。
本当は酢の物はあまり好きじゃないけど、私が作れば嫌でも食べてくれるから、酢の物を出すときは必ずお兄ちゃんの好きなおかずも作っておくの…」
「あと、甘いものはあまり好きじゃないけど果物は好きだから、デザートにはなるべく旬の果物を出すようにしてる……」
…全部当たってる……
「お兄ちゃんがお嫁さんをもらって私の必要がなくなるまでは、私がお兄ちゃんの健康管理をするって決めたの。」
「私に料理してもらうの悪いって思うなら、早くいいお嫁さん見つけてね……」
「……っ」
泣きそうになった。
紫織は本当に俺中心に世界が回っていて、俺はそれを利用して生きている。
可愛い実の妹を毎晩のように抱いて傷つけて、こんな熱まで出してるのに無理させた……
健気な紫織のことを思うと、苦しくて、胸が鷲掴みされるような気分になった。