秘密の兄妹
第12章 募っていく想い
「…お兄ちゃん…」
紫織はベットから体を起こすと、俺のことを見つめる。
「どうした?」
「…ぎゅってして…今日はまだしてもらってない……」
「ああ…」
俺は紫織をきつく抱きしめる。
紫織は俺の背中に手を添えて、俺にしがみついてくる。
熱い体…
ごめんな、紫織…
熱あることに早く気づいてやれなくてごめん……
そして、素直にお前に謝れない兄貴でごめん…
俺は紫織から体を離すと、立ち上がる。
「紫織、薬と冷却シートはリビングのクローゼットの中にあるよな?今、持ってくる。」
「それと、コンビニ行ってくるから…。とりあえずポカリとお粥買ってくる。お前はしばらく安静にしてろ…」
「うん、ありがとうお兄ちゃん。」
「俺もあとでお前の作ったごはん、温め直してちゃんと食べるから安心して寝てろ」
「うん」
紫織は少し嬉しそうな顔をする。
「…………」
可愛い…
可愛くて、愛しくてたまらない俺の妹…
妹…
いもうと……
っ、何でだよ!何で妹なんだよ……
俺は紫織と兄妹だという自分の境遇を、この日、心底恨んだ。