秘密の兄妹
第13章 【好き】の自覚
…紫織、何でこんな時に帰ってくんだよ……
「…妹さん?」
「…ああ」
紫織は黙って俺たちの前まで来ると、家の門を開けて美加に声をかける。
「あの…お兄ちゃんに用があるなら家の中にどうぞ。今、お茶の用意しますから…」
「…じゃあ、そうさせてもらおうかな…」
「紫織!お茶なんて出さなくていいからお前は中に入ってろ!!」
「でも…」
お前に俺が美加と一緒にいるところ見られたくないんだよ……
「いいから家の中に入れ!命令だ!!」
「……うん…」
紫織は申し訳なさそうに美加に頭をペコッと下げる。
「紫織ちゃん、初めまして!私は今川美加!あなたのお兄さんの初めての相手!!よろしくね!」
「美加!!!」
俺は声を荒げた。
「よろしくお願いします…」
紫織は美加にそう言って俺の方を見る。
「…何だかお似合いの2人だね……。2人の邪魔しちゃ悪いから家の中に入るね。美加さん、家に来てくれるならいつでもお茶の用意しますから遠慮しないでくださいね。」
「ええ、ありがとう!」
紫織は美加に笑いかけると家の中に入っていった。
「…噂には聞いていたけど、ずいぶん綺麗な妹さんね……あれはモテるでしょう?悠人の家って美男美女の家系なのね…」
「…美加、帰れよ……」
「…………」
美加は俺の顔をじっと見ると、ふっと笑う。
「今日のところは帰ってあげる。でも、悠人とセックスするまで私、諦めないから!」
美加は俺にそう言うと、後ろを振り向いて家から離れていった。