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秘密の兄妹

第13章 【好き】の自覚

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朝になって、私の横で眠っているお兄ちゃんの顔をじっと見つめる。



「…お兄ちゃん…眠ってるよね……?」



「…………」



「あのね…昨日、お兄ちゃんと美加さんが一緒にいるところを見て、ずっとモヤモヤしていた気持ちが何かはっきり分かったの……」



「私、お兄ちゃんのこと好き…大好き……」



「でもね、その【好き】は、ただの好きじゃなくて【愛してる】の好きだよ……」



「私、お兄ちゃんのこと【お兄ちゃん】としてじゃなくて一人の【男の人】として愛してる…」



「お兄ちゃんは私のこと【妹】としてしか大事に想ってないみたいだけど、私はお兄ちゃんのこと本気で愛してる。」



「…………」



「…ねえ、私が勝手にお兄ちゃんを想ってるのはいいよね…?

もし、私がお兄ちゃんのオモチャとしての役割を果たせなくなったら、その時はためらわず捨ててくれていいから……

【もう飽きた】って捨ててくれていいから……。

だから、その時が来るまでは、私のこと可愛がって……

…でもね、私のこの気持ちには一生気づかないでね……

愛してるよ、お兄ちゃん。」



私はお兄ちゃんの額にキスをすると、ベットから出て服を着て、着替えるために自分の部屋に戻った。




******


「……全部聞こえてるんだよ、バカ……」



紫織が部屋を出ていくのを確認すると、俺は目を開けて体を起こした。



俺は片手で自分の顔を覆う。



…どうしろっていうんだ……



今さら紫織に【俺も愛してる】なんて言えない……



「言いてえな……紫織に言いたい……」



【好きだよ】【愛してるよ】って、飽きるくらい耳元で囁いてやりたい……



でも、言って何になる。



最後はお互い苦しむだけだ。



「あと10ヶ月……」



離れたくない…



離したくない…



でも…無理なんだ……



俺たちは兄妹だから……


「…紫織……」



俺の目から一筋の涙がこぼれた。






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