秘密の兄妹
第14章 罪と罰
―その日の夜―
いつものように紫織を抱き終わったあと、俺は紫織の髪を撫でながら紫織の顔を見つめていた。
「なあ、紫織……」
「ん…?」
「お前、大学受験すんの?」
俺がそう尋ねると、紫織は少し黙ったあと答える。
「…実はね、今、悩んでるの……。私もお兄ちゃんと一緒の大学に行きたいから、このままエスカレーター式で大学まで行こうかなって……
でも、大学まで妹の私と一緒だとお兄ちゃんさすがに嫌でしょ?
だから受験した方がいいかなって思って……」
俺はその言葉を聞いて、紫織の髪を撫でていた手を止めた。
「まさかお前…今まで俺がお前と一緒だと嫌がると思って大学受験しようとしてたのか?」
紫織は俺を見つめると、申し訳なさそうな顔をする。
「……ごめんね、お兄ちゃん。高校受験も考えたこともあったけど、高校まではせめてお兄ちゃんと一緒のところに行きたくて高校受験はしなかったの…
まだ、お兄ちゃんと離れちゃうの嫌だったから……
だけど、大学は…お兄ちゃんと離れた方が、お兄ちゃんの為にもいいかなと思ってる……」
「馬鹿!俺の顔色考えて進路決めんなよ!別にお前と大学一緒でも俺は嫌じゃないから、そんなこと気にすんな!」
「…でも私、お兄ちゃんの重荷にだけはなりたくない……。
それに、由香もお兄ちゃんとは離れた方がいいって受験勧めてくれてるし…」
「由香?お前の友達の?」
「……うん」
紫織は少し困った顔で微笑む。
「少し考えてみる…何が自分にとって一番いいのか……
だから、お兄ちゃんはあまり心配しないで……」
「…………」