秘密の兄妹
第14章 罪と罰
―翌日―
あ…まずい、古語辞典忘れた…
…紫織にでも借りに行くか……
俺は席を立つと1年の教室へと向かった。
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紫織の教室に行くと、紫織はいなかった。
「あっ、高瀬先輩…」
…なんだ…紫織の友達の由香か…
「紫織に古語辞典借りに来たんだけど、紫織は?」
「紫織はさっき、サッカー部のキャプテンに呼び出されて出ていきましたよ。古語辞典なら私のを貸しましょうか?」
「…ああ、じゃあ、悪いけど借りてもいいか…?」
俺がそう言うと、由香は後ろのロッカーまで行って古語辞典を取り出し、俺に差し出した。
「どうぞ…」
「…どうも。…紫織、また告白されてんの?」
「違います。前からサッカー部のマネージャーの誘い受けてて、それを断りに行ってるんです。
他にも、バスケ部、野球部、剣道部、いろいろなところからオファーが来てて…
ほらあの子、よく気が利くし、面倒見がいいから。
それに可愛いから、紫織がいるだけで男子部員の士気があがるでしょう?
だから、いろんな部から引っ張りだこなんです。
でも、紫織は見事に全部断ってますけど。」
「ふうん…」
俺が興味なさげに答えると、由香が俺を睨み付ける。
「【ふうん…】って何ですか!?紫織は全部、高瀬先輩のために断ってるのに!!」
「…は?何だよそれ…どういうことだ…」
俺が少し疑問に思って由香に尋ねると、由香は怒りながら口を開く。