秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
だが、すぐに腕を掴まれ、男に体を抱き寄せられる。
「無駄だよ、紫織ちゃん。諦めな…
これは悠人が招いたことなんだから、兄貴の代わりに妹の紫織ちゃんに責任を取ってもらう…」
「…せ、責任…?」
男は紫織の瞳をじっと見つめると、紫織のことを諭すように話はじめる。
「外にいた美加や他の女たち見たろ?悠人は美加たちと適当にヤって、さんざん楽しんだあといとも簡単にあいつらをポイッと捨てた。
味がなくなったガムを捨てるみたいに本当にあっさりと…
あの中にはいなかったけど、俺の元カノもその内の一人……
あいつのせいで何人の人間が傷ついてると思う?」
「…………」
「紫織ちゃん…外にいる女たちはみんな悠人に自分の処女を捧げたんだぜ?
本気で悠人のことが好きで、悠人に嫌われたくなくて、悠人の言うこと聞いてたんだ……
それなのに、悠人は誰のことも自分の彼女にしなかったし、誰のことも大事にしようとしなかった…
そんな時に、適当に生きてる悠人が唯一大事にしているものを美加が見つけてきた……」
「…お兄ちゃんが大事にしてるもの…?」
「そう…それが紫織ちゃんだよ……」
紫織は目を見開いた。
「わ…たし…?」
男はうるさいくらいに体育倉庫の扉を叩く悠人のいる方を見て、くすっと笑う。
「すげえ焦ってんな、悠人の奴……
これが、中にいるのが美加や他の女だったら悠人は絶対に助けになんかこない……あいつはそういう奴…
悠人って酷い男だと思わない?本当にすげえ罪作りな男だよ。」
兄のことを責められ、紫織は下を向く。