秘密の兄妹
第15章 美加の復讐
「紫織!!!返事してくれ!!!」
悠人は悲痛な叫びをあげながら体育倉庫の扉を何度も叩く。
紫織はそんな悠人に、内側から優しい口調で声をかける。
「…お兄ちゃん……」
「…紫織!!?無事なのか!!?」
「うん、今はまだ無事……」
「【今は】ってどういうことだよ!!?扉の鍵、内側から開けられないのか!!?」
「無理…。外からしか鍵は開けられないみたい……」
「…っ!待ってろ!!扉壊してでも開けてやるから!!!」
「…お兄ちゃん…いいよ…私は大丈夫だから……」
紫織の言葉を聞いた悠人の顔が一変する。
「大丈夫ってどういうことだよ!!!お前、何考えてんだ!!?」
紫織は目を閉じて涙を流すと、悠人に語りかける。
「お兄ちゃん…私も一緒に背負うよ……」
「…何のことだよ!!?」
「お兄ちゃんが美加さんたちに犯した罪…私もお兄ちゃんと一緒に背負う……」
「…何言ってんだよ…」
「私が今ここで中にいる人たちに身体を許せば、美加さんたち、少しは気が済むと思う……」
悠人は扉にしがみついて頭を横に振る。
「…っ、だめだっ!!!そんなの絶対にだめだ!!!お前は誰にも触らせないっ!!!」
悠人の懸命な叫びを聞いた紫織は、目に涙を溜めて幸せそうに笑った。
「…私、いま幸せだよ…お兄ちゃんにこんなに必死になって心配してもらえて…すごく幸せ……
だからもういいの……
もう十分だよ……」
「紫織!!!」
「お兄ちゃんの罪は私が代わりに償うから…
だからお兄ちゃん……しばらくどこか遠くに行ってて……
私が他の男の人に抱かれてる声とか、お兄ちゃんにだけは絶対に聞かれたくないっ……ぐすっ…ぐすっ…」