秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
「…はぁ…」
紫織のことが可愛くてしかたがない…
俺に苦しめられて
俺にさんざん泣かされて
俺のせいで酷い目にあって
それでも俺のこと想ってくれる…
俺に笑いかけてくれる
俺は紫織を傷つけてばかりで、紫織が俺に与えてくれる愛情に見合うだけのものを、紫織に何も返してあげられていない…
…なのに…
「…こんなときに、俺、本当に最低だ…」
抱きたい
抱きたい…
紫織のこと、俺でメチャクチャにしてやりたい
紫織の身体が壊れるくらい、紫織のことをメチャクチャに抱きたくてたまらない…
「…お兄ちゃん…」
紫織に声をかけられ、後ろを振り向くと、風呂上がりの紫織が少し暗い顔をして立っていた。
「…どうした?」
紫織は俺の横にちょこんと座ると、涙目になりながら俺の顔を不安そうに見つめる。
「体育倉庫の中で、アキラさんっていう人にキスされたの……」
「え…」
「お風呂から出て、髪の毛乾かしたあと、歯を磨いて何度もうがいしたんだけど、気持ち悪い感覚がどうしても取れないの…
だから…」
紫織がそう言って、俺の顔を見上げた瞬間、俺は紫織の唇を強引に奪った。