秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
―翌日―
朝、起きて、洗面所に向かおうと階段を下りていると、キッチンからいい香りが漂ってきた。
「おはよう、お兄ちゃん」
声をかけてきた紫織の方に顔を向けると、制服を着た紫織がエプロンをして朝食を作っていた。
「なに…してんだ…?」
「えっ?何って朝食を作ってるの…
私、何かいけないことしてる?」
紫織は不思議そうに首を傾げる。
「違う!朝食じゃなくて…何、制服なんて着て学校行く用意してんだよ!!
今日は休んでいいって昨日言ったろ!!」
「…でも、何か今日休むのってズル休みみたいで嫌で……」
俺はため息をつくと、階段を下りて紫織に近づく。
「昨日、お前のことを犯そうとしたアキラたちも、今日、学校に来るんだぞ…」
俺が紫織にそう言うと、紫織は顔を曇らせた。
「あいつら、3人とも反省の色が全くなかった。
また、お前が襲われる可能性は十分にある。
今日、俺が学校に行って、あの3人に紫織に二度と近づかないように約束させるから、お前は今日は家で休んでろ」
「…………」
俺は返事を返さない紫織の頭を優しく撫でる。
「お前のことが心配なんだ…
頼むから、今日は学校休んでくれ……」
「…うん」
「分かったら、早く着替えて来い」
紫織はコクンと頷くと、2階の自分の部屋に向かっていった。