秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
2人で紫織の作った朝食を食べたあと、俺がソファーに座ってテレビを見ていると、朝食の片付けを終えた紫織が俺の横に座り、甘えるように俺の腕に抱きつき、顔を刷り寄せてくる。
「…………」
俺が紫織の方を見ると、紫織は潤んだ瞳で俺の顔を見上げる。
「お兄ちゃん、今日はなるべく早く帰ってきてね…」
「…ああ、そうする……」
俺はそう答えると、立ち上がり、ソファーの端に置いてあるカバンを持った。
「…じゃあ、学校に行ってくる。
何かあったら、いつでもいいから俺の携帯にメールしてこい」
「…うん…」
俺が紫織の返事を確認して玄関へ向かうと、紫織も俺を見送るため、俺の後についてきた。
玄関で靴を履いていると、紫織が俺の制服の上着の裾を掴む。
「…どうした?」
「…お兄ちゃん、ぎゅってして…」
「…ああ」
俺は紫織の体を抱き寄せて、紫織を強く抱きしめた。
しばらく抱きしめたあと、紫織から体を離し、紫織の頬を撫でる。
「…紫織、じゃあ行ってくる…」
「いってらっしゃい…」
…何か新婚みてえなやり取りだな……
俺は紫織の頬から手を離すと、玄関のドアを開けて学校へ向かっていった。
「…………」