秘密の兄妹
第16章 壊れかけの心
大地が颯爽と立ち去ったあと、俺は風磨に尋ねる。
「アキラたちが帰ったってどういうことだ?
自主停学って何だよ…」
風磨は俺の顔をじっと見て、お茶をテーブルに置くと、口を開く。
「俺が大地を使って、アキラたちが紫織ちゃんをレイプしようとしたって噂を学校中に流した…」
「は…?」
「どうせ、ああいう噂はどこかから必ず漏れる。
昨日、学校に残ってた生徒もたくさんいたしな…
どうせ漏れるんだったら、100%紫織ちゃんが被害者になるような噂を流してやろうと思って、生徒会と新聞部に友達のいる大地に頼んで、俺が昨日の事件を学校中に広めた」
「どこの誰が流したか分からない噂より、生徒会や新聞部みたいに出所がしっかりしているところの噂の方を皆、信じるだろ?」
「…………」
…俺が朝、登校したとき、大地が走って行ったのは生徒会と新聞部へ行くためだったのか…
「…でも何でアキラたち、3限で帰っていったんだ…?
あいつら、噂流れたぐらいで騒ぐような奴らじゃなくね?」
風磨はテーブルに肘をついて、俺に説明を始める。
「紫織ちゃんのことをアキラたちがレイプしようとした話を聞いて、まず、それに怒った紫織ちゃんファンの柔道部と剣道部の奴らが、アキラたちのクラスに殴り込みに行って袋叩きにした。」
「で、次に、外に逃げ出してきたアキラたちを、サッカー部と野球部の奴らが一斉にボールの的にして痛めつけた…」
「あっ、そいつらも紫織ちゃんのファンの奴ら…」
「…………」