この日この時この瞬間。
第43章 思い通り、重い通り。
もし自分に目がなくなったら
もし自分の足が5等分に契れたら
もし自分の顔が半分になったら
もし自分の鼻が4つあったら
――そんなのを
私といえるんだろうか。
自分に失っていいものはあるのだろうか。
いやむしろ、
何を失えばいいんだろうか。
失えば楽になれるんだろうか。
そもそも、
簡単に失えるものなんだろうか。
望み通り、
私には目が見えたよ。
その目で君の顔を捉えたよ。
望み通り、
私には鼻が嗅げたよ。
その鼻で君の香りを嗅いだよ。
望み通り、
私には口が開けたよ。
その口で君に伝えたよ。
望み通り、
私には腕を広げれたよ。
その腕で君を抱き締めたよ。
望み通り、
私には足が動いたよ。
その足で君の所へ駆け出したよ。
その為に
そうする為に
大切な人ができた時の為に
私の体は、顔は
できているんだと信じたい。
そうしたら
私は私の形を実感することが
できるかもしれない。
そうしたら
私は私を
自信を持って愛せるかもしれない。
意味を与えてください。