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フロント学園3

第2章 誘拐事件

ある日、健太は一人で家への道を歩いていた。
今日は、雄太が風邪で欠席だった。
ひどい風邪でもなく、36.9ということで元気なのだが、咳と鼻水がひどいということで、念のため休んだというのを聞いている。
健太は、学校から家までが遠かった。
妨害になる雪等がなくても四十分以上かかるし、雪があると進みにくいので、そんな時は一時間もかかる。
健太はまだ学校を出たばかりで、家まではほど遠かった。
いつもは雄太と喋りながら帰るからあっという間だが、今日は、雄太がいない。
雄太がどれだけ大切な存在だったかに気付いたら、今まで雄太と遊んだり、調査してきたことが頭に浮かんできた。

人通りも少なく、静まりかえった道を一人で歩いていく…。
と、前の方の電柱に人影があった様に見えた。
健太が立ち止まってちらちらと見ていても、それらしい人影は一切出てこなかった。
「気のせいかな」
健太は、雄太がいないことの寂しさや、あまりの静けさに混乱していたのだと自分に思い込ませ、無理に元気に家路を歩いた。

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