春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第8章 新しい一歩
ぐるっと見回したユキの部屋は、1DKの私の部屋よりも広い。
ウォールナットの床に、オフホワイトの壁
センスよく並べられた家具と、暖色系でコーディネートされた雑貨でまとめられていて
……あ、このチェストうちの商品だ。
男の部屋って感じがあまりしなくて、温もりがあるっていうか……
「春ちゃん、お待たせ」
「………!」
程なくして
マグカップをふたつ持って、ユキが戻ってきた。
「って、なんでそんなとこにいるの?」
緊張して、ソワソワして、結局部屋の端っこで正座していた私。
目が合って、さらに上がる心拍数。
ローテーブルの上にホットココアを置くと、ユキはこっちに向かって歩いてきて
笑いながら、私の手を取った。
「そんな顔されたら、ヤバイんですけど?」
「……えっ?」
「この前も言ったけど、年上って感じ全然しないんだよね。
ほら、その目とか」
「………??///」
「なんていうか……襲いたくなる」