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春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第2章 桜の木の下で

……彼が、何も言わないのをいいことに


私は目を閉じて、自分の両手をそっと彼の背中に回した。


私の顔の位置に胸があるから、この人は背が高くて


抱きしめた感覚で、男の人にしては体が細い方だってことが分かる。



………今でも、こんなにも胸がドキドキと高鳴っているから


これが本当に遼くんだったら、心臓発作を起こしてしまうだろうな。




「………あのさ」




沈黙していた彼が、口を開く。




「俺のこと、誘ってんの?」


「……えっ……?」




さっきよりも、低い声が振ってきたので


私はゆっくりと体を起こして、顔を上げた。




「その “ 秘密 ” って、どこまでが許される?」


「…………!」


「キスも、秘密のひとつに入れていい?」

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