春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第9章 その時が来るまで
“ 私が抱きしめてもらいたい人は、たった1人だけなので
遼くんには秘密にしてください ”
………大丈夫。
ちゃんと、分かってるよ。
カウントダウンは始まっている。
開始のボタンを押したのは、俺自身。
桜の木の下で、涙を浮かべるあんたを見つけて
無意識の中、何度もその男の名を口にするのを聞いた時に
いずれは手放さなければならない人だって、気付いたんだ。
……ただ
その時が来るまでは
俺の腕の中で、俺の名前を呼んでほしい。
「……春ちゃん、好きだよ」
俺は、貴方に
本気で恋に落ちてしまったから。