春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第10章 目撃
……製品化……!?
「あの……!!」
ガタッと勢いよく立ち上がった私に驚いて、山田さんは大きく目を見開いた。
「ど、どうしたの……?」
「…………」
……ダメだ、教えてくれるわけが無い。
このオジサンは人がいいから、たまにこうやって抜けてる所があるんだけど
……今、別会社って言った。
さっきのCG画といい、何よりもこの制作所にある時点で
既に、もう………
「……すみません、私帰ります」
「あ、あぁ……」
「お忙しい所ありがとうございました!」
「う、うんこちらこそ……」
直角90度で頭を下げて、飛び出すように応接室を後にした。
事務の人達にも挨拶をして、階段を急いで駆けおりる。
途中から足がガクガクと震え出して、ふらつく程にまでなってしまったけど
なんとか入口までたどり着いて、扉を開けて外に出た。