テキストサイズ

春雪 ~キミと出逢った季節 ~

第14章 救いの扉


「……芹澤の野郎。
マジで、最後まで迷惑な奴だったな」



パーテーションを隔てた反対側で、宮本が失笑する。



「今回の騒動で、結局転職先の内定も取り消しらしぜ」

「はは、そりゃご愁傷様」

「で、パクられた家具はどうなったんだよ」

「さぁね。
上の方でまだ騒いでるけど、手遅れなんじゃねぇの」



さらりと答えると、宮本が怪訝な顔して近付いてきた。


お前それでもデザイナーか?とでも言いたげな表情。


マジでどうでもいいと思ってるなんて言えないな。



「悪かったよ、宮本。
せっかく警告のアラートを出してくれたのに」

「………」

「お前、相変わらずカンが鋭いのな。
尊敬するわ」



パソコンの電源を落として、笑ってみせると



「……尊敬するのは俺じゃない。
蓮見だ」



俺の斜め前の席に座って、宮本は溜息をつく。



「あの女、俺が気付く前に見つけやがったからな。
視力2.0って、どこの部族だよ」

「………!」

「例のラフ画だって、一発で気付いたんだろ?」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ