春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第14章 救いの扉
「…………」
言い聞かせるように、そう呟くと
宮本は静かに椅子から立ち上がった。
「……ここまで吐いておいて、矛盾するから」
「………?」
「今から俺の言うことは、聞き流してくれていいけど」
一度目を閉じてから
ゆっくりと元に戻して、俺の方に振り返る。
「……孤独は
自分1人では解決できねぇんだ」
「………!」
その言葉で、ドクッと心臓が跳ねる。
「抱えてる重さは、お前の方が遥かに深いけど
……俺も、去年まではそうだった」
……宮本の瞳が揺れて
切ない表情で
俺を真っ直ぐ見つめた。
「加賀谷。
一度でいいから、鎖を外してみろよ」
「………!」
「それが、お前にとっての過ちでもいい」
「………っ」
「……その一歩が
救われる、扉の入口に繋がるから」