春雪 ~キミと出逢った季節 ~
第16章 サヨナラ、春ちゃん
……遼くんを想って
今まで、何度も涙を流してきたけど
昨日は、今までで1番泣いたと思う。
抱きしめられた腕も
繋がれた大きな手も
……おでこに、そっとキスされた熱さも
遼くんの温もりが私の体に残っていて
だから
今日、大学の助手として務める最後の日
最後の講義くらい、しっかり任務を全うしたいって思ってたのに
書類を学生達に順番に配って
1番後ろの席に座っていた、ユキの机の上に置いた時
“ 真っ赤 ”
……自分の目に人差し指を添えて
ヒソヒソ声のユキに、小さく笑われてしまった。