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アシンメトリーと君

第2章 日常

「美味しそうだね。
料理が出来るのいいな。

俺めっきりだから」

「そ、そうなんですか?
意外です・・・!」


目の前で二人できゃっと声を上げ、周りで様子を見ていた女子生徒も興味津々にコソコソと話し始める。

また噂の種にでもなるんだろうか。
別に気にしないけど――。


「・・・で、でしたらお弁当を――」


か細く話始める女生徒の後ろで噂話をする生徒たちをぼーっと見つめると


「空斗~~~!やっ~と見つけた!」


後ろから名前を呼ばれ振り向く。

向けばそこには数冊のファイルを持って手を振る副会長の林がポニーテールを揺らし近づいてきていた。


「も~~~探した探した!!
さっき教頭にめちゃくちゃ難題押し付けられて凄い困ってるんだけどこれ無理じゃない?・・・ってアレ、お邪魔だった・・・?」


林は走って乱れた前髪を気にしながら、俺と二人組の女子生徒を見やる。


「いや、大丈夫。
これ、ありがとう」

「い、いえ・・・!」


俺はお礼と微笑むと林の持っていたファイルを広げ、話しながら生徒会室へ向かう。


「林先輩居るし、やっぱり稲葉会長無理そうじゃない?
そうじゃなくても元々ハードル高いけどさ」

「そうだけど・・・」


後ろからそんな声がポツポツ聞こえる。


「それで、何が無理難題だって?」


ぱっとファイルに目をやる。
次の行事についての予算詳細の様だった。


「これ」

「難しくないだろ・・・」


俺はしかめっ面の林をジロっと見る。
当の林は「いやだってさ」と言葉を繋げる。


「難しいよ~!?私数字関連は苦手で苦手で・・・。
それに空斗こそ、何が料理めっきり~なの?」


林はくすくすと笑うと俺の肩をつついた。
「昨日の弁当、作られてなかったとかで自分で作ってきてたでしょうに」と。

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