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アシンメトリーと君

第2章 日常

今日は僕の担当曜日では無い。

どうしてもと頼むなら、僕と同じ曜日の人にも頼めるはず。
あえて僕に頼んだのは地味で言うことを聞いてくれそうだからだろうか・・・。

まあ、この見た目だし――。

内心、はぁ・・・と溜息をついて自己嫌悪していていると、チッと上から小さく舌打ちが聞こえてきた。


「やっぱ駄目~?別に断る理由無いでしょ~。
清水くんいつも一人なんだし~、てか逆に放課後に予定なんてあるの?」

「えっ・・・?」


予想もしていなかった言葉に思わず拍子抜けした。

さも、そうじゃないの・・・?という顔を向けてくる女子生徒に僕はたじろぐ。

さすがにそれは――・・・。


「え、え~っと・・・」


確かにいつも一人だし、浮いてる存在かもしれないけど今日はバイトという用事がある。

今は月末前だからすることも多くて忙しくなるだろう・・・。


「―――何、駄目なの~?」


イラついた声で、訊き返してくるクラスメイト。

どうしよう・・・どうしよう・・・。

僕はぐるぐると回る頭のまま答えた。


「いえ、大丈夫です・・・」

「ほんと~!?やった!
ありがと~!」


さっきの態度から一変して、ころっと笑顔に戻すとさっさと去っていく。

その後ろ姿を見ながら、緊張していつの間にか入っていた肩の力をそっと解かす。

怒らしてしまう前に何とかできた安心感と、引き受けてしまった後悔。

またやってしまった―――と心の中で呟く。

気が弱くて、押されてしまうと断ることができない臆病な性格。

クラス替えをしてからは、こういうことが日常茶飯事だから最近は諦めかけているけど、さすがに先ほどの様な言い方をされると僕でも傷つく。


「あ、連絡入れなきゃ――・・・」


さっきとは打って変わって淀んだ気持ちで弁当を食べ終えてしまうと、僕は携帯と読みかけの小説を持って人気の無い外庭へと向かった。

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