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アシンメトリーと君

第2章 日常

「す、すみません華さん。

夏樹のセットがかかってしまって。
それに合わせてまたやってしまいました・・・」


放課後。

無理やり半分で受けた掃除当番を済ませ、その後夏樹に急ピッチで髪をセットしてもらい、慌ててHaNaへ。

僕は乾いた笑いを零すと、バイト用デニム生地のエプロンを付けて後ろの紐へと手を伸ばす。


「あ、憂くん。学校お疲れ様~。
またやっちゃったんだね~メール見たよ。

ほんと懲りないね~」


はははと調子よく笑って、棚の奥から数十冊本を抱えた華さんが出てきた。

さっぱりと短く整えられたショートカットの黒髪に、少し小柄気味な身長。
僕と同じ様なエプロンのポケットには、可愛らしいひよこのワッペンが一つ。

「この性格はなかなか直せないんです」

ささっと乱れた髪を整え”清水”と書かれたネームを付けると、華さんの手から数冊本を受け取る。


「ありがとう。

難しいんだろうけどね。
ほどほどにね」


華さんは苦笑しながら言った。


「はい。
そこは気を付けます」

「なら良かった。
今日も憂くんよろしくね」

「はい」


僕は受け取った本を指定されている棚へ直すと、在庫整理や店頭の掃き掃除などにあたる。
そうすると三十分もしないうちに、店は九割方女性客にいっぱいになった。


「ねぇ!あそこの店員さんカッコよくない!?」

「わかるー!超イケメンだよね!」

「一度でいいから話してみたいな~。
でもファンの数凄そうだし・・・」


そんな声がどこからともなく聞こえてくる。

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