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アシンメトリーと君

第2章 日常

「・・・あ、え~っと・・・。
ゆ、ユウヤっていいます」


そう言いながら、若干引きつった笑顔で誤魔化した。

咄嗟に嘘をついてしまった――。

でも、ここで本名を言うとややこしくなりそうだし・・・。

そう考えながら、偽名のほうが正しいと至った。


「ゆ、ユウヤさん・・・!
あ、ありがとうございました!」


そう言うと、彼女は購入した本が入った袋を掴んで人だかりに消えてしまった。


「れ、レシート・・・!」


少し拍子抜けしながら、虚しく残ったレシートを小箱へ入れると次のお客さんからも笑顔で本を受け取る。

考えてみると、店内で「憂くん」と呼ばれてるのに、まさかバレないとは思わなかった。

あだ名で呼ばれてると思ったのだろうか・・・それならそれで良かったかも・・・と一人で考えに浸っていると、何だかおかしくなり笑う。


「あ、すみません・・・!」

「い、いえ・・・!」


その姿に見惚れて、女性客の動きが止まっているのは少しも気づくことはなかった。

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