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only one【完】

第4章 甘い罠

「友達なんてアイツにとっては、拷問だろうな」




高木さんはそう言うと、タバコに火を点けてから、また続けた。






「アイツの今日の感じだと、まだお前のことが好きなんだろな…
だけど、お前がアイツを受け入れないことを、多分アイツも分かってる。

だから…」





「もういいです!
指輪も届けたし、帰ります」











分かってる。
本当は分かってる。




五郎の優しさを失ないたくない私は『友達』なんて都合の良い言葉で、五郎の気持ちを引き止めている。




五郎が何も言わないことをいいことに、私はずっと甘えている。




それを見抜かれたことが、情けないような、恥ずかしいような感じがして、私はここから逃げ出したかった。







「ごちそうさまでした」





私は立ち上がり、高木さんに頭を下げて玄関に向かった。



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