ホットミルク
第5章 揺れる
アイカは先生の体温を感じながら
やっぱり大人だなあ…なんて
のん気なことを考えていた
「あっ…!」
先生が声をいきなりあげた
「ど…どうしたんですか?先生」
アイカは顔を上げて先生の顔をみた
先生は抱きしめている力をギュッと少し強くしながら言った
「そーいえば、今日はお前、俺ん家に泊まりだから」
…え
ってええええ!?
「どっどーして?!」
先生は悪戯っぽく笑って
「お前が倒れたとき家に電話したんだけど、留守電でさ。まあ、留守電によると、お前の両親は今日から旅行に行ってるらしいぞ。知らなかったのか?」
「ええええ!聞いてないよっっ!まったく…お母さんたちってば自由人すぎ…!娘の一大事なのに…」
アイカは、はあ〜と大きなため息をもらした
「親御さんたちにちゃんと連絡とれてないし…こんな状態のお前を家に1人で居させるわけにはいかないだろ?もし何かあったら大変だ」
「1人って…お、おねーちゃんいるしっ!」
アイカはすかさず反論した
「彼氏の家かバイトで全然家に帰って来ないんだろ?知ってるんだからな」
先生は少し得意げな顔をして笑った
「うう…図星ですけど…」
「まっ、そーゆーことだから、とりあえず今日は泊まってけ。な?」
先生はズルい
そんな優しい声で、優しい笑顔で言われたら断れないよ
「はい…」
「よし!素直でよろしいっ!」
あははっと笑みをこぼしながら、彼はわたしの頭を撫でてくれた