
暗闇で恋しましょう
第14章 月明かりに照らされて
目を開け、広がったのは暗闇。
あの頃の感覚がまた脳裏を過ぎり、背筋に悪寒が走る。
早く、この闇から、逃げなきゃ……
思うより先。
私を包む暖かさと優しさを感じ取る。
それはどうやら、私の手から伝わっているようで。
怖さも寂しさも、全て包んで消し去ってくれる。
この暖かくて、優しいものは……なんだろう
手で形を確認する手前、目が捉えたのは人影。
暗くて顔が見えない。
誰だろう……
暗闇に慣れない目をいくら凝らしても、どうにもその正体は確認出来ず。
気になる心を宥める様に、雲から月が顔を出す。
照らし出されたのは水上さんで。
おでこに手を当て、俯いている。
