暗闇で恋しましょう
第16章 回顧①
「………なぁ、飛翠。このまま何も食べずにいたら、冗談抜きで死ぬぞ。お前」
結構。
むしろ、願ったり叶ったりだ。
「なあ………なあ……」
「頼むから、生きようとしてくれよ………飛翠……」
………俺なんかの為に、なんて顔で、なんて声で、そんな事を言うのか。
あれだけのことで、こいつは俺をどれだけ慕う存在に仕立て上げたのかと思う。
俺は、ゆっくり服を脱ぎ始める。
「………飛翠……」
「言っとくが、体力なんて無に等しいし、玄関出ただけで倒れるかも知れないからな」
「………分かってる」
またそんな心底安心した声を出す。
本当に、祥人は馬鹿なヤツだ。
そいつに絆される俺も同等かそれ以上か。
何にしろ、殺したはずの心。
俺だけに向けられる言葉で動くくらいには、死んでいない様だった。