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暗闇で恋しましょう

第19章 説教

それはすごく一大事なのでは………?


一刻も早く謝らなければ、水上さんの怒りの鉄槌が



「なんて顔してるの。杏ちゃん」



降ってきたのは怒りでも、鉄槌でもなく、困り顔と人差し指。



「そんなことで俺が怒ると思う?確かに気は抜けたけどね。後ろで物音するなーって思って振り返ったら、百面相と不審な挙動が目に入るんだもん」



ふはっと思い出し笑いをしながら、私の眉間をぐりぐりする水上さん。



……ほう……なるほど……

あの葛藤、ちょっとだけかと思ったら、全部見られてた訳ね………

………………恥ずかしさで死にそう……



顔を覆う私の心境を知ってか知らずか、水上さんは私の頭を優しく撫でる。



「大丈夫だよ。杏ちゃん。そもそも空気云々の話じゃないしね」



ゆっくり顔を覆う手をどければ、その言葉通り。


水上さんの怒りはまだまだおさまりそうにないらしい。

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