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暗闇で恋しましょう

第25章 救われたんだ③

そもそも“話題を振る”なんて行為自体が珍しい。


甘夏は、ここに本当に寝に来ているのだ。


だから、最初数回、男を口負かしたとき以外、口を開いたところなど見たことがない。



「………別に、やめたわけじゃねぇけど」

「ふーん……」



話題を振っといてその返しとは。


流石、甘夏。


特段期待もしていないが。



「……なんつーか………そっちの方がしっくりくるのな。お前」

「?そっちって?」

「“いい子ちゃん”?」



話をしないから、身の上話をした覚えだってない。


なのに、甘夏は男の本質を見抜いてみせた。



こういうところが、なんつーか勝てない所以なんだろうな……


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