暗闇で恋しましょう
第4章 それは手の届かぬ場所に
目の前に広がる広くて大きな海。
瞬時に察する。
“これは夢だ”
私にとっての絶対はひぃちゃんであるからして、あの約束だって絶対。
つまり、私1人で海にいるなど、天地がひっくり返ったとしても有り得ないのだ。
にしても、夢にしてはやけにはっきり意識を持っている。
そのせいか、約束を破っている気分になり、何だか気分が悪い。
どうしたら起きれるかと腕を組み、考えていると、私の横を何かが走り去った。
見れば、幼い女の子で。
大きすぎる麦わら帽子を必死に両手で抑えて、嬉しそうにどこかに駆けて行く。
駆ける度、飛ぶ砂で、ここはサンセットビーチなのだと気付く。
やけに足元が柔らかい訳だ。
駆けて行く、揺れる白いワンピースをボーッと見詰める。
あの子の行先。
私ははっきり分かる気がした。
視線を少し上げ、遠くを見詰めれば陽炎の如くゆらゆら揺れる2つの影。
その見覚えのあるシルエットに私は確信した。
“彼女”は“私”だ
幼い頃の私
あぁ、そうか。
だから、あの2つの影はーーーー
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