
暗闇で恋しましょう
第4章 それは手の届かぬ場所に
「なにその情ねぇ顔.....」
「だ、だって、私、一応、女の子なのに.....まだはっきり言われた方が....いや、でもそれはそれで傷付くような.....」
「......何の話だよ」
折角、遠回しに指摘する、という優しさを見せたのに私から言わせようとするひぃちゃん。
本当に、ひどい人....
唇を噛み、ぎろっとひぃちゃんを睨み付け、汲み取ったひぃちゃんの言葉の意を言い放つ。
「臭いんでしょ?私......」
ぎゅぅと雑誌を握り、俯く。
風呂入れ、なんて言われて連想するのはそれくらいで。
仮にも好きな人の前に、臭い自分を晒した女性の気持ちをひぃちゃんは少し考えるべきだ。
思ったとしても、胸に秘めるべき。
そうすべき!
恥ずかしいやら、ムカつくやらでぐちゃぐちゃの私に降ってきた言葉。
「......何言ってるか分かんねぇけど、だとしたらこの近さ、アウトじゃねぇか?」
的確なそれに、ひぃと声を上げ、離れようとする私を手首を掴み止めるひぃちゃん。
「いやー!離して!!臭いんでしょ?!やーだー!!」
「落ち着けって!風呂入れっつったのは、そんな意味でじゃねぇよ!」
ひぃちゃんの手から逃れようと、ばたばたしていた手足をぴたりと止める。
へ?え?今、なんて?
