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暗闇で恋しましょう

第29章 俺とあいつとそしてーー……②

言葉も返さず、じっとひぃちゃんを見詰める。



「………他の人の力は借りずに、俺の力だけで話せってか」



はぁとひぃちゃんは浅く息を吐いた。


全くもって、その通りでございます。


うんうんと頷く私に、自分の言葉があっていると確信したらしいひぃちゃん。


浅く深呼吸をし、言葉を紡ぎ出した。



「俺には、一生を添い遂げたいと思った人物がいた」



“飛翠にはね、一生を添い遂げたいと思ってた人がいたんだ”



1度聞いて、そんな気はしてた、と自分に言い聞かせたものの、胸が痛んだ言葉。


2度目なら、と思ったけど、やっぱり痛いものは痛いらしい。


それどころか、本人の言葉だからか、その痛さは1度目より遥かに強い。



「“いた”ってことは、その、今はその人いないんだけどさ」



ひぃちゃんの顔が、今まで見たことがないくらい曇る。

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