暗闇で恋しましょう
第7章 酔っぱらいの戯言(=本音)
ひぃちゃんの好きなとこ。
まず、イケメン。
30代のくせに酷く若い。
外見が全てでは無い。
誰かがそう言ったけど、第一人称は大事。
それも誰かが言った事実。
でも、内だって、しっかり私好み。
いつもは冷たい癖に、たまにくる優しさ。
ああいうのに女は弱いのだ。
分かっててやってるとしたら、あんなナリで相当遊んでいたと見た。
「………杏ちゃん、ぜーんぶ声に漏れてるけど、気付いてる?」
「そうでしょう?幼馴染みさん!ひぃちゃんはぁ、そうとぉ、遊んでたぁ!」
びしーっと目前に座る水上さんを指差す。
呆れたを通り越して、その目にはもはや憐れみさえ見える。
「幼馴染みじゃないし……あいつはそんな器用な男じゃないよ」
「誘拐はサラーっとしちゃえるのにねぇ」
気分は上々。
普段なら絶対言わない、言ってはいけないことをサラーっと言っちゃう私。
実はー…………酔ってます!
ケタケタ陽気に笑う、私の前には9割方残ってるウィスキーボンボン。
「………まさか、1個食べ切らない内に酔うなんて………」
このウィスキーボンボン。
水上さんが私がために買ってきてくれたもの。