暗闇で恋しましょう
第8章 お買い物1
私の気持ちを具体化するように弾む歩み。
軽快過ぎてそれは、スキップになってしまう程。
鼻歌だって漏れてしまう。
後ろで小さく溜息が聞こえた気がするけど、気にしない。
だって、スキップも鼻歌もせずにはいられない。
くるりと一周回り、辺りを見渡す。
お洋服にアクセサリー。
レストラン街に靴屋さん。
目に映るもの全てがキラキラしている。
そう。ここは、ショッピングモール。
そんなに大きくはないけれど、外出を普段許されていない私からしてみれば、夢の世界そのもの。
そもそも何故“外出を許されていない”私が、ここにいるのか。
その答えは、簡単で。
年に数回、ひぃちゃんの気が向いた時、外出が許されることがある。
今日がそれに、どうやら当てはまったらしい。
朝起きて、ぼーっとしている私に
“出掛けるぞ”
たった一言。
寝ていた頭もすぐに起きたなんて、言うまでもない。
まあ
ひぃちゃんの傍を離れない
上には必ずパーカーを羽織り、常時フードを被る
目立つ格好をしない
マスク必須
等、ちょっとしたルールはあるけど。