暗闇で恋しましょう
第9章 お買い物2
完敗し、大人しくソフトクリームを食べ終われば、すっと迷いなくそのカップに伸びる手。
その手は言わずもがなひぃちゃんの手で。
持った手を辿るようにひぃちゃんを目に映し、そのままひぃちゃんの行く末を見れば、そこはごみ箱。
自分のカップとともに、私のカップを捨ててるのが見て取れた。
………あぁ、本当ずるいなぁ
きゅんどころじゃなくもうぎゅんの領域だよ
さりげなさ過ぎてぎゅん死にする。
「……それは突っ込むべきか?」
その言葉は、自らの服の胸ぐらを掴み、“苦しいです”アピールをする私を指しているんだろう。
自分が私をこんなポーズにさせたというのに、なんて冷めた態度なのだろう。
いや、まあ、ここで
『どうした?!大丈夫か?!』
なんてして見せられたら、鳥肌ものも鳥肌ものだけど。
「で、次どこ行きたい?」
これ以上、私のポーズに関して話題を広げるつもりは無いらしい。
腕時計を確認しながら、そんな問いを私に投げかける。
あ……あの腕時計……
ほぼ常に、と言っても過言ではない程、ひぃちゃんが左腕に身に付けているもの。