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斉藤太一です

第11章 夏休み

「あ・・しずくちゃん

あ、えっとえっと


大丈夫かい?」




どうしたらいいか
僕は分からなくて

なんて言えば
しずくが
泣きやむのかも

わからなくて



僕は

しずくの
小さな手を

優しく両手で
包み込んだ



しずくの手は
本当に小さくて



信じられないほど



柔らかくて



強く握ったら


握りつぶして
しまいそうな
手をしていた





「おっ・・おとーさっ・・

は、はち・・はちに
なったったから

もう
おばぁちゃんが・・」




まだ

息をヒクヒクさせながら
しずくは
時計と
僕の顔を交互に見ながら
時間を気にした





「あ、そ、そうだね

でも
ちょ、ちょっと待って」




僕は急いで
しずくちゃんの
涙を
ティッシュで拭った




「大丈夫かい?

もう
泣かなくていいよ

迎えに行くんだから
泣かないで

しずくちゃん」





「う、うん」






「また来てくれるかい?」





「うんっ

夏休みが
終わるまでは
来られるの」








そうか



夏休みの間だけ・・・







しずくが
ドアを飛び出してから


僕は
カレンダーを
見ていた




もうすぐ
お盆だ



夏休みは
3週間もしないうちに
終わってしまう




しずくと

あと何回
会えるんだろう




僕は



かすみに
会えるんだろうか



いや










会わないと




僕は

一生後悔する





絶対に


絶対に


かすみに会おう




僕は

そう思った

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