斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
店を出て
2人を駅まで送り
僕は
ひとり
アパートに向かった
ひとり
歩いていると
色々考えてしまうもので
かすみが
しずくを預かる
僕の提案に
戸惑っていたことが
気になって
仕方なかった
食事をしている時は
とても
楽しそうで
ずっと
笑顔だったし
店に来た時も
穏やかだった
でも
僕が
いつでもおいで
そう
しずくに言った時だけ
かすみは
少し動揺していた
当り前だと
思った
昔の知り合いで
数か月
よく会っていた
ただ
それだけの僕
そんな
それだけの知人に
子供を預けるなんて
出来るわけがない
しかも
僕は
男で
おとーさんと
呼ばれているけど
他人なんだ
・・・寂しいけど。