斉藤太一です
第15章 近づく距離・遠ざける君
一瞬で
涙が込み上げた
僕は
かすみが
居ない隙に
電話をかけてきた
しずくの気持ちを
察していた
かすみには
僕は
来られないと
言われたんだろう
直接
お願いすることも
止められたんだろう
そんな
しずくが
悲しくて
それに
しずくを
遠ざけるかすみの
行動に
気付きながらも
何も
していない自分が
情けなかった
他の友達は
お父さんや
お母さんが
運動会を
見に来てくれることを
しずくは知っているんだろう
保育園でも
すでに
寂しい思いを
していたのかもしれない
そんな
しずくは
やっと
父親に会えて
運動会に
来てもらうのを
楽しみにしていたのかも
しれない
僕に会った
夏休みの
あの日からずっと・・・。