テキストサイズ

斉藤太一です

第9章 あたし・・・帰るね


あれは
週末で・・


本当なら
僕は仕事が休みの曜日だったんだけど


急な仕事で
出掛けてしまっていたんだ




半日ほどで仕事を終えて
アパートに帰ると

階段を上がりきる手前で
君の声が
聞こえたんだ




「遅い」




え・・・



「かすみちゃん
どうしたの?

あ、あれ?

僕・・メール見忘れたかな


ごめん
気付かなくて
いつから待ってたの?」





「あ、いいのいいの

メールしないで
勝手にきちゃったの」




「そ、そうか

ごめんね
寒いだろ?

さ、中に入ろう」




かすみに
出会ったのは
暑い時期だったのに

その頃はもう
寒い季節になっていて



かすみは

大きなマフラーみたいなのを
マントみたいにして
寒そうにしていた






休日に


しかも
そんな早い時間に
かすみが来たのは



はじめてだった

ストーリーメニュー

TOPTOPへ