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後味の悪い話

第3章 素晴らしい日本

マグロの漁獲量が激減しているそうだ。


 水産庁が、クロマグロの危機的状況を物語る結果を発表した。

 太平洋クロマグロの産卵場は、南西諸島(沖縄県)周辺と日本海に限られていて’14年生まれのクロマグロは前年比で20%(80%減)、一昨年と比べても33%(67%減)に激減していることが判明した。

 このままでは、絶滅危惧種の国際取引を制限する「ワシントン条約締約国際会議」(’16年に開催予定)で輸出入の規制対象種に加えられる可能性が高くクロマグロが食べられなくなるという。

なぜこんな事態に陥ってしまったのだろうか。

 その大きな要因は、将来のマグロ資源を支える産卵魚を根こそぎ取る「巻き網」だという。

夏場に産卵で海面近くに上がってくるマグロの魚群を待ち構え、一網打尽にする漁法を日本海で始まった。

 その結果、それまであまり獲られることがなかった産卵期のマグロが大量に獲られることになった。

 産卵期のマグロは市場価値が低く、巻き網船にとっては「夏場の小遣い稼ぎ」にすぎない。将来のマグロ資源を食いつぶすこの『巻き網漁』に、厳しい規制はかからなかったからだという。

 産卵期のマグロ漁獲の開始は、巻き網漁の拠点である境港(鳥取県)の水揚げ量増加をもたらした。
 それまで年間500t程度だったが’04年に1700tに急増、その後5年間は2000t前後で推移した。

 しかし翌年から1000t以下に激減。

 資源枯渇の兆候が出始めたのだ。

同じ頃から、長崎県壱岐島をはじめ一本釣りが盛んな地域でもマグロが獲れなくなった’05年度の358tから’13年度は5分の1以下の67tに激減したという。

 素晴らしい日本ですね。


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