エスキス アムール
第16章 バーボンと、ストーカー
「木更津、こっちむけ」
「…はなせっ」
「木更津…!」
「やめろよ!
だいたい僕は社長で、
波留くんは副社長……っ!!」
俺は、文句を並べる彼の顔をグイッと引っ張りこちらを向かせると、
ギリギリまで近づけて、
頬にキスを落とした。
「…なっ…!」
「…お礼だよ」
木更津は頬を抑えて顔を真っ赤にしている。
「情報をあげたのは、
跡を付けてたお詫びだよ!」
「違う、違うよ。」
早口で
照れ隠しをする彼に対して、
否定して向き直る。
「元気が出た。お前のおかげで。」
「…っ、」
「…ありがとうな。」
それを聞くと、彼は目をそらして、一気に飲みほした。
そんな強いもんを、そんなスピードで。
無理すんなー。
苦笑して彼を見る。