テキストサイズ

エスキス アムール

第20章 彼女との時間






「ねえ、はるかちゃん」



「…」


「ねえってば。」



お風呂から上がってから
ずっとこんな調子だ。
彼女はお風呂で大きな声をあげて
あんな姿を見せてしまったことを

とても恥ずかしがって
怒っている。



「いやだっていったのに。」


「でも、気持ちよかったでしょ?」


「……」ジロリ


「と、とっても美味しいよ
カレー。」


「……」


それから、
しばらく沈黙が続いて

口を開いたのは
はるかちゃんだった。



「……仕事、12月が終わったら
やめるの。」


「え?そうなの?」


「目標にしていた
金額がたまるから…」


「…そっか、
お疲れ様。長い間。」


その言葉に
彼女はこちらを向いて
笑みをこぼした。



「ねえ、はるかちゃん」


「なに…?」

大分機嫌が直ったようだ。
その笑顔を見て、思う。

一緒にいたいなーって。


だけど、
こっちは仕事が忙しいし
なかなか、
会う時間が作れないかもしれない。


仕事をやめたら、
なおさらだ。

だから。


機嫌がだんだん良くなってきた
その彼女の背中に


言葉を
ひとつ、投げかけた。






「はるかちゃん


一緒に、住まない?」









ストーリーメニュー

TOPTOPへ