エスキス アムール
第4章 巡り合わせ2
【大野side】
隣で眠るはるかちゃんの
綺麗なピンク色に染まった頬を
撫で上げた。
「…ん」
少しだけ声をあげて口角があがる。
受け入れてもらえているようで、とても嬉しくなった。
このまま寝ちゃおうか。
はるかちゃんを抱きしめながら、目を瞑る。
まだ、
眠れそうにはなかったけど
頭の中では、
はるかちゃんと最初に寝た時の事を夢のように思い出していた。
それは一年前、
いつものように接待があった。
何がノー残業デーだよ。
接待なんて
残業中の残業じゃないか。
接待なんて、
社長と秘書で充分だろ。
自分がコミュニケーションが取れないからって、
全部俺に押し付けやがって。
だいたい
日本型雇用慣行だからいけないんだ。
そんなもの作らずに、
アメリカ型にしとけば良かったものを。
だれだ。
人を蟻のように働かせ始めたのは。
ぶつくさと心の中で文句を言いながら、
「接待のお店は
いつものところでよろしいでしょうか?」
そう聞くと、
意外な返答が社長から返ってきた。
「いや、
先方が私たちに紹介したいところがあるらしくてね。
なんでも面白いところらしい。
だから、今回は予約は必要ない。」
ていうか、そもそも、これって、秘書の担当じゃないの?