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エスキス アムール

第42章 僕のシルシ




はいはいと、
あやすように背中を撫でれば、また少し開いた目を気持ち良さそうにして閉じた。


何か痕を残さないでも、
首輪みたいなやつがあるといいなと思う。

縛り付けておけるような。
見ただけでそれを実感できるような、もの。


痕をつける事で少しは満たされるけど、毎回こんなに痒がっていたら可哀想だ。



何か…、


今まで、そこまでして手放したくないと思った人もモノもなかったから、こういう事はよくわからない。


三嶋にでも聞いてみようか。
とも思うけど、彼女は長年波留くんに一筋で、ろくに恋愛経験もない。

聞いた所で無駄か…。



彼の背中のボコボコに触れながら、一生懸命考えた。



首輪をさせるわけにはいかないし、
指輪ってまだどうかなと思う。
ピアスは彼は穴を開けていないし、
ネックレスもちょっと……

残るパーツと言えば手首だ。



ブレスレットはなぁ。
僕がつけるのがあまり好きではない。


となると……、



「あ。」




手首といったらあるじゃないか。
つけても、不自然じゃなくつけられて簡単にお揃いにできるものが。


そうだここだ。



彼の手首を握ってほくそ笑んだ。


彼はもう、夢のなかだ。


それで縛り付けられたら苦労はしないけど、痕はつけなくても、日常的に幾らかの効果は発揮するかもしれない。


彼にキスを落として、おやすみと言うと背中を撫でながら眠りについた。









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