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エスキス アムール

第48章 ただいまとおかえり

【波留side】





連日の木更津の不可解な行動。



俺には全く理解ができなかった。
さんざん身体に快楽を植えつけられたと思ったら、気がついたらはるかちゃんの家の前だ。



木更津が運んできたことに間違いはないはずなのに、その意図がよくわからなかった。


起きたら時計もない。



完全に捨てられたと思った。



バッグに詰められた俺の荷物全て。
詰めきれないくらいの荷物を持ち歩くんだったと、自分の身軽さに初めて後悔した。



はるかちゃんと久しぶりにキスをした昨日。
俺は全く彼女に反応しなくて。
これが連日、木更津が俺のことを快楽漬けにした意味だったのだと理解した。

確証があったかはわからないけど、木更津は彼女の元に俺が行けないように身体に教え込んだのだ。



俺の身体は物の見事に木更津の思惑通りになって。

彼女には反応しないのに、あいつのことを考えると反応して、触って欲しくてたまらなくなる。

そして、心が寂しくなって、ひとりでいることに慣れていたはずなのに、あいつがいない部屋にいることに苦しくなった。


あいつがいないと、もうやっていけない身体にしておいて、どうして時計を外したのか。


まさかはるかちゃんがイニシャルに気がついて、隠していたとは思わなかった。


これだけは、計算しつくした木更津も予想外だったと思う。



俺は久しぶりに左手首に重みを感じながら、自分の家の前に来た。





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